雪の音
降ったばかりの雪の上に大の字で倒れ込むのが好き。
雪がたくさん降った年でないとできない芸当だけれど、雪の中に埋もれていると、私の体温でじわりと私に触れている雪が溶けていく感覚と、小さくちぎった綿飴のような無数の雪の破片が空から永遠に降りてくる光景を眺めることができる。
そして何より好きなのは、雪の中に埋もれていると、雪の中に埋もれているときにしか聞こえない、静けさの音が聞こえること。
しーーーーーー ····ん
敢えて文字に表すとこんな感じなのだけど、雪は外界の音を吸い込む性質があるのか遮断する性質があるのか、冷たい繭の中にいるような、守られている感覚になる。
ぱふっと柔らかく受け止めてくれる雪とこの静けさとともにいると、
隣で同じようにしている人にキスしたくなる衝動が湧き起こってくるのはいつも不思議だ。
それが恋人であろうと家族であろうと友人であろうと。